●第4回津山国際総合音楽祭の概要●

音楽監督:若杉 弘 |

音楽副監督:渡邉康雄 |
第4回は、マーラーに対する造詣の深さはもとより、指揮者として国際的な活躍を続けている若杉弘氏を音楽監督に迎え、作陽音楽大学が転出する環境の中で、多年の蓄積を土台にして生みの苦しみを克服した新たな出発を期するものとなりました。「やがて自分の時代が来る」と予言した作曲家マーラーは、新しい時代を求めつつ、人生上のさまざまな挫折・衝突を経ながらも、常に強い意志の下に起死回生への憧憬を失わなかった人です。それは未来を見据えながらの、異なる世界への飛躍、悲願へのまなざしとも言えるものだったはずです。音楽都市としてさらに飛躍をめざす津山地域の新しさへの願望を秘めた「津山国際総合音楽祭」は、この年大いなる転機を迎え、この偉大な作曲家マーラーの新しい世紀にかける希望と憧憬のまなざしに象徴される未来へのテーマとします。
具体的な音楽祭の内容としては、マーラーの代表的な歌曲集である《子供の不思議な角笛》を取り上げると同時に、マーラーが手を加えたオーケストレーションによるベートーヴェンの《交響曲第9番》が演奏されました。聞き慣れた姿とはいくぶん違った「第九」の演奏を通して、ベートーヴェン指揮者としてのマーラーの姿をしることにより、この作曲家のもうひとつの顔に接する機会となりました。また第4回は、マーラーが最後に完成作品として残した「第九交響曲」も音楽祭の閉会を飾る演奏会で演奏されました。ふたつの「第九」という選曲の背景に運命の「九」を越えたマーラーの悲願への展望、すなわち第4回の音楽祭のテーマ《グスタフ・マーラー〜未来へのまなざし》を読み取っていただけたはずです。第4回は10日間の音楽祭期間中の出演者は、およそプロ500人、アマ1700人の合計2200人。12会場22プログラムの入場者総数は13433人で、座席数に対する合計入場率は90%に達し、音楽大学の転出した後の音楽祭の成功は、内外の熱い注目を集めました。
なぜ、マーラーか?
当音楽祭は、一貫して《未来に架ける人の輪・音の輪》をメインテーマとして、テーマ作曲家にはグスタフ・マーラーを取り上げています。メインテーマは音楽祭を通じて人づくりを目指すという意味で設けられ、人と人、人と地域、地域(国)と地域(国)の未来へ向けての期待を象徴するものです。テーマ作曲家グスタフ・マーラー(1860〜1911)は、19世紀から20世紀にかけて、東洋と西洋、芸術音楽と民族音楽、高尚な音楽と通俗的な音楽、声と楽器、声楽曲と器楽曲、19世紀音楽と20世紀音楽、生と死など、対立する要素を統合、総合して新しい音楽的宇宙を創造した音楽家です。「津山国際総合音楽祭」のテーマ作曲家として、その中心に彼を据えることは、20世紀から21世紀に向けて様々な要素を包含しながら音楽都市として飛躍を目指す津山地域の願望を秘めたものと言えます。
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